園長のコラム

園生活の中での日々の子供たちとの関わりから、私たち大人が「よりよく生きる」ことを考える・・・「幼児教育」をテーマに神明幼稚園の園長自らが、思いを綴ります。

第13回 やりたいからやること

やりたいからやること やりたくないけどやること


 園長は最近、幼稚園の子ども達の生活場面について、こんなマトリクス図を考えてみました。
縦軸には、やりたいか、やりたくないか。
横軸には、やるか、やらないか。
すると図のような4つの領域が出来ました。

  やる やらない
やりたい やりたいからやる やりたいけどやらない
やりたくない やりたいけどやらない やりたくないからやらない
  • やりたいからやる
  • やりたくないけどやる
  • やりたいけどやらない
  • やりたくないからやらない

 

  私は、神明幼稚園の子どもたちに幼稚園の生活を通じて、この4つの経験を全部、しっかりとしてほしいと願っています。

 「やりたいからやる」

 1つ目の「やりたいからやる」こと。これは言うまでもなく、幼児期の子どもたちにとってとても大切な経験です。あれをやってみたい。これをやってみたい。出来るようになりたい。上手になりたい。幼稚園で出会うさまざまなことに興味を持ち、意欲を持って取り組む子になってほしいと思います。自由遊びの時間では、自分からやりたい遊びを見つけて、それを自ら工夫して発展させていく子どもたちに育ってほしいですし、クラスの時間では先生が提供する活動に自ら興味を持って取り組んでくれるように、私たちはいつも言葉かけや環境設定に工夫をしています。

 「やりたくないけどやる」

2つ目の「やりたくないけどやる」こと。これも①と同様に幼児期の子どもたちにとって大切な経験です。楽しく遊んだ後のお片づけ。面倒くさいかもしれないけれど、次の日も楽しく遊ぶためにはやらなくてはいけないことです。運動会のかけっこで負けるのが嫌だからやりたくない、という場面は年中さんではよく見る光景ですが、やはりがんばって挑戦する子になってほしいなと思います。最初は「やりたくないからやらない」から始まって、でも幼稚園での生活を通じて、やりたくないけど「やらなくちゃいけないから」やる、と「折り合いをつける」ことも子どもたちは学んで成長していきます。

 「やりたいけどやらない」

3つ目の「やりたいけどやらない」ことも大切です。自由遊びの時間にせっかく砂場でどろだんごを作り始めたのに、お片づけの時間になってしまったとき。ターザンロープがやりたくて園庭に飛び出していったら先に他のお友だちが遊んでいたとき。幼稚園の生活の中ではそんな場面がしばしばあります。2つ目と3つ目は、自分の感情と状況に不一致が生じる場面ですが、そんなことはこれからの人生でいくらでもあることです。心理学では「情動の抑制」と言いますが、要するに「がまんする」ということも、3歳4歳5歳なりに身につけてほしいと思います。

 「やりたくないからやらない」

 4つ目は「やりたくないからやらない」こと。これも生きていくうえで時には必要な経験です。大人しくていつも活発な子の意見に従っていた子が、「いやだ!僕はこれがやりたいんだ!」と主張したとしたら、そのことは認められるべきだと私は思います。年中いやだいやだでは困りますが、時には断固拒否するべき場面も長い人生の中では必ずあるからです。

 以上の4つの経験をしっかりとしてほしい、と書きましたが、幼稚園の段階ではこの4つがすべて出来なくてもいいと私は思っています。子どもたちのタイプによって、①が苦手な子、②③④が苦手な子。全部ありだと思います。また、小学校、中学校・・・と進んでいく中で、タイプも変化してきます。小さい頃はもじもじして自分の意思を明らかに出来なかった子が、中学高校では生徒会長になりました、なんていうケースは私たちの周りでもしばしばありますよね。
 

 考えてみれば、この4つの経験は人生の続く限り継続するテーマなのかもしれません。私たち大人の日常もこの4つの領域の繰り返しです。そんな温かい目で子どもたちを見守っていきたいですね。